婦女暴行事件が続いていた公園で、お互いに睨み合う2人の影があった。
1人は何を隠そう、否、ほとんど何も隠していない、事件を起こしていた変質者である。毒蛇キングコブラの巨大マスクを被り、無駄毛が処理された肥満体の上半身を露出した状態で、手を虫の足のようにワキワキさせている大男。辛うじて下半身の性器だけを隠しているのは僅かな良心がそうさせるのか、それとも獲物の少女を驚かせるためなのか、それとも少年誌の規制のためなのか。しかし、いくら性器の露出が無いとはいえ、総合的に見れば変態としか表現の仕様が無い変態である。 これまで数多くの無垢な少女を毒牙にかけてきた怪人コブラ男(中身は普通のおっさん)は今、新たな獲物に向けて舌を伸ばそうとしているのだ。
そして、変態のコブラ男に果敢に立ち向かうのは、肌の露出度では変態の敵にも負けていない、ほぼ全裸の美少女変身ヒロイン「スイート・ストロベリー」である。 長い黒髪に装着された巨大なイチゴのアクセサリを小刻みに震わし、顔を真っ赤にして羞恥に耐えながら敵に挑む少女。その服装は、ヒジ手袋とシューズ、そしてビーチバレー顔負けの食い込みを見せるパンツと、そこに付いたオマケ程度のひらひらスカートで構成されている。 そんな破廉恥なコスチュームに身を包んでいるのはしかし、幼さも残る思春期の乙女なのである。大人へ変わる顔は果実が熟れていく危ない魅力を発し、不安と羞恥に歪む顔の瑞々しさを思わず味見をしたくなる。しかし胸ははち切れんばかりに成長し、腰周りから腿にかけて適度に脂肪が付いて熟女顔負けの色香を漂わせている。 (もう駄目! 恥ずかしすぎて死んじゃう! 絶対にお嫁にいけなよこんなの! どうしてこんなことになっちゃったんだろ……) 牛の様な特大巨乳のパーツを補うのは、突起を隠すアーケードゲームのAボタンと方向スティックのみ。触られることを期待するような肌の露出率、弄られることを期待するような乳房の飾り、剥かれることを期待するようなパンツ、最早怪人と同類の露出狂としか思えない。治安の悪い場所を歩けば良くて警察に保護、悪くて獣に集団暴行されて肉便器直行な姿だった。 卑猥な変身ヒロインに、横のブッシュからこれまた卑猥な声援が飛んだ。 「必殺技が使えるぞ! スイートストロベリー! おっぱいを左右に振りながら敵に当てるのだ!」 「ええ―――っ。うそ―――ッ!! そんなの出来ません!」 自分に変身アイテムを渡した変態天才科学者の言葉にショックを隠せず、スイートストロベリーは羞恥と混乱で破裂寸前の理性を更に沸騰させていく。彼女の必殺技は全て、敵の男に「これならくらってもいいかな」と思わせるよう計算がされているが、そんなことは今の彼女には知ったことではない。 「女の子を助けたくないんか―――!!」 (そ、そんな―――っ!?) 誰もが忘れていたが、スイートストロベリーは怪人コブラ男に襲われている女性を助けに来たのだ。しかし、その女性はもう場にいない。露出男対露出女のエベレスト頂上決戦にドン引きして逃げたのだろう。そもそも変身して戦っている本人さえドン引きしているのだから無理はない。 確かに少女は人の役に立ちたいと考えていたし、自分の力で誰かを救えるのなら喜んで頑張れる。しかし、天才科学者の薦めで実際に成ってみた正義のヒロインは、卑猥と淫乱(男性の願望)が具現化したような恥も霰もない存在。女性の武器として色気を利用するのは正解でなくとも誤りではないし、少女の容貌は並の女優以上だから十分に活かせるのだが、恥じらいがどうしても行動を鈍らせる。 しかし、この状況から脱するため、早く変身を解くために、スイートストロベリーは決意を固めて必殺技を繰り出した。 「な……何だ……!」 コブラ男の顔が驚愕で強張るのが、マスク越しにも伝わってくる。それも当然といえば当然で、目の前に変身ヒロインが乳房を震わせながら体当たりをしてきたのである。 プルプルプルプルと風を切る音を立て、上半身をくねらせて巨乳を激しく左右に振り乱すスイートストロベリー。乳首が乱れるままに方向スティックとAボタンの残像が描かれ、唇からは半ばヤケクソの声が迸る。 「いや―――見ないで―――っ!! でもよけないで当たって―――!! でも見ないで―――っ!!」 羞恥と混乱で吹き飛ぶ寸前の理性を総動員して悲鳴を上げる変身ヒロインだが、この乳房連続殴打こそがスイートストロベリーの必殺技「ストロベリー・ギャラクティカ・ダイナミック」なのである。 この簡単に回避できる技を見せられた敵はしかし、足が石化したように動かなくなってしまう。理性では技を回避しようとしても、性欲がボインの感触を知りたがり技に当たらずにはいられない。冗談のようだがマジでそういう設定なのである。
本来ならばこの技で、スイートストロベリーの勝利で戦いは終わる、はずだった。
しかし、コブラ男は余裕の笑みで構えをとり、にやりとマスク越しに笑みを浮かべる。スイートストロベリーの技に惑わされている様子は無い。 「大きいが力任せに揺するだけのおっぱいに、百戦錬磨のおじさんが惑わされると思ったのかい、お嬢ちゃん。甘いわ!」 風船が割れるような激しい音を立てて、弾力に満ちた左の乳房が衝撃に歪む。衝撃で乳首を隠していたAボタンが虚しく吹き飛んだ。巨乳に針を刺される激痛と電流を流される痺れを感じ、スイートストロベリーは目を見開く。 「きゃ……あ……ああ……やあ……!」 コブラ男の大きな手がバレーボールを叩くように、左右に振れる乳房を平手で激しく打ったのである。左から間髪いれず、今度は右の乳房が平手に打たれ、乾いた音を上げて方向スティックが飛ぶ。蛇に噛まれたような激痛が伝わるのに悲鳴を上げる前に、再び左の乳房が平手打ちにされた。 「……う、うぐ……もう少しで、おっぱいが敵に届くのに……!」 コブラ男の乳房殴りは止まる気配もなく、拳銃を発射するような激しい殴打音の回数が乳房の振動数を超え始め、叩かれる度に乳房が破裂しそうな衝撃が走る。 「い、いやああああ―――っ!!」 手形だらけの乳房を弱々しく振りながら、ストロベリーはコブラ男の前で膝を折り、そのまま地に崩れ落ちた。涙を流して激痛に悶える顔には、既に男への恐怖しか浮かんでいない。まさに毒蛇の前のヘビイチゴである。 「おっぱいで戦う者はおっぱいに敗れるのだ」 「……ご、ごめんなさ……ゆ、許して、ください……」 乳房を丸出しにして泣きながらコブラ男から逃げようとする。年頃の少女にとって大切な乳房を武器にし、更に異性の変態に殴られるショックは、彼女にとって一生のトラウマになるような衝撃だった。 しかし、トラウマはすぐに上書き更新されることになる。 「ふむ、身体検査と思ったが、殴ってみるのも悪くはないな」 「ひっ! いやああ! やめてくださ……やっ! やあ―――っ!」 コブラ男がストロベリーを押さえ込む。必殺技が不発に終わり、精神にも深い傷を負った彼女に反撃する力は残されていない。 マウントをとられた彼女の視界で、コブラ男が拳を振り上げる。 (もう絶対スイートストロベリーにはならないわ―――っ!!) コブラ男のパンチが鼻にめり込み、心の叫びが言葉になることはなかった。 血を流しながら逃げようとするストロベリーに、硬く握り締められた拳が次々と振り下ろされていく。
…………………… …………
スイートストロベリーは次の日の朝、公園の砂場で倒れているのを発見された。 顔や乳房は青黒く腫れ、可憐な顔は骨折して歪に歪んでいた。コブラ男に散々殴られて陵辱された後、今度はホームレスの集団に輪姦され、公園を溜まり場にしている暴走族にも輪姦され、唇や陰部からは白濁が零れ落ち、只でさえ露出度の多いコスチュームはほぼ剥ぎ取られていた。 早朝には野良犬にも襲われたらしく、全身の複数個所に噛み傷や尿によるマーキングの痕もある。
あまりに不幸な彼女にとって唯一幸いだったこと。 それは、誰も彼女を正義のヒロインだとは思わなかったことだった。
BADEND
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