薬座!
少女戦士が痛めつけられ、陵辱、捕食、グロ拷問されるリョナ小説。
09 | 2008/10 | 11
S M T W T F S
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

『救世主ミリルのお仕事』 4-9「はじまり」

 ――現代。


 ピンク色の氷菓子が削がれ、舌の上に薄く広がっていく。
 季節は夏、少女は学校の農業実習を思い出した。友人のアマゾンたちとピーマンを収穫していたのが、もう遠い昔の話に思える。正確には、自分の方から遠ざかったのだが。
「随分と長話をしてしまったけれど、退屈だったでしょう?」
 髪の毛のお化けの姿ではなく、普通の幼女の姿でいる無限が苦笑いするのを、永山洋子はアイスクリームを舐めながら目を細めた。そんなことはない、と優しい眼差しが無限に向けられる。
「黄金仮面様から話は少し聞いていたんだけれど、詳しく聞いてようやく理解ったわ。私がどういう存在なのか、どうしてこうなったのか、そしてこれからどうなっていくのかが、ね」
「うふふ。それでいいの」
 無限は無垢な笑みを浮かべて、洋子を見上げた。
「貴女には300年もかけて受け継がれた悪意の血脈が、とても色濃く現れている」
「何たってまあ、歴史レベルの悪の一族だし」
 洋子と無限は手を繋いで、整備された住宅街を歩いていく。
 レンガ色のタイルが敷き詰められた歩道。
 等間隔で植えられている街路樹。
 そして虫の声が聞こえてくる。
 都心部での虫や動物の減少が叫ばれて久しいが、この地域では不思議なことに虫の数が減らない。
 虫たちは、まるで何かに引き寄せられるかのように近辺に集まり、元気に鳴き続けていた。
「300年前は、ちょうどここに、甲世の巨大巣が存在していたのよ」
「ははは、虫が多い以外、もう何も面影は無いね」
「そりゃあ、溶岩で完全に埋まってしまったもの。もう痕跡すら碌に残っていない」
 無限は、もう過去の話だと言わんばかりに嗤った。
「でも、ここから少し先に行ったところで、巫女たちが持っていたクリスタルが2つ出土した。貴女のお友達のアマゾンちゃんと沙織ちゃんが持ち主に選ばれて、ナイトガールズに変身しちゃったんだけど」
「それで黄金仮面様も調査にやってきて」

「『新月』の策士、永山左近の直系である貴女を発見することができた」

「お褒め頂き、有難き幸せでございますよ? 甲世鈴虫様?」

「それは止めて。もう、とうの昔に失った名前だもの」
 無限と名乗る少女は、恥ずかしさと儚さが混在した笑みを浮かべた。
 風の流れが一瞬止まる。
 洋子と無限は顔を見合わせ、かつて自分たちの同志が滅びた場所を見た。
 それは300年前の物語。
 甲世家と永山家。直政と鈴虫。左近と瑪瑙姫。
 美しき魂が蹂躙され、清き魂が汚辱される夢の国を創ろうとして、世界系に阻まれた『新月』は、この地で火山帯の突発的大噴火に巻き込まれ、壊滅的な打撃を受けて力を失った。
 天下統一を成し遂げた甲世幕府であるが、詳しい資料が残るのは3代将軍の似我(じが)のみで、直政と鈴虫に関しては名前だけだ。史実では、噴火の際に資料が焼失したことになっている。
 今も歴史学会で論争が続いている、歴史の闇。


 あのとき、最後の大噴火の中に消えた直政と弥助は、ついに戻ることは無かった。
 澪もまた燃え尽きたのだろう、あの戦いから彼女の姿を見た者はいなかった。
 噴火の災厄を逃れた甲世の蟲たちは、そのまま日本中に拡散した。それは『新月』が期待していた規模ではないにせよ、大規模な生態系の改変を引き起こし、多くの種が自然界から滅び去った。
 もっとも、それを知る人間は世界中でも数えるほどしか存在していない。

 …………………
 ………

「着いたわ」
「へぇ、ここが……名前はそこそこ有名な進学校だけど」
 かつて甲世城が存在していた場所は今、何の変哲もない私立高校が建っていた。
 名を――『皇線学園』という。
 現在、地下組織として影から日本を支配している甲世幕府の拠点であり、現在の甲世の直系である姫将軍も通学している学び舎でもある。
 現行の甲世幕府の長たる姫将軍。しかし、彼女は『新月』ではない。現在の甲世は黄金仮面や『新月』に影響を受けない独立した存在として、自分の夢の世界を創るための巨大プロジェクトを動かしていた。
 世界を創り変えて理想の楽園を創設する、世界大変革。
 関係者の間で『ネオID計画』と呼ばれているそれは、世界に新時代か破滅かの片方をもたらす計画だった。大半の人間が死に絶え、生き残りの人間も「ヒト」ではなくなる。
「これ以上接近すると警戒されてしまうから、『彼ら』に迷惑がかかる。ここまでよ」
「はーい。言う通りにしまーす」
 関係者以外がそれを踏み越えれば迎撃体制がとられる防衛ライン、その数メートル手前でごく自然に立ち止まり、洋子と無限は長話を始めた。
 一般人を装った魔法改造人間が常に複数、ローテを組んで学園を警備している。詳しく調査されれば、そもそも戸籍どころか国籍も存在しない無限と、行方不明扱いの洋子には都合が悪い。
「ねえ、無限ちゃん。甲世幕府にいる魔法改造人間って、何人ぐらいだっけ?」
「現在は予備兵、非戦闘員も併せて27万6733人」
「対して、愉快な天球教会とその仲間たちは?」
「2万4999人。潜在的な異能者を含めれば4万にはなるかも」
「はぁー、そりゃ両者が衝突すれば巨人ファンvs阪神ファンどころの話じゃないよね。日本が壊滅するぐらいの騒乱になりそうですけど、数では勝負になりませんなあー。踏み潰されてお終いじゃん」
「巨人ファンと阪神ファンが比喩ではなく戦争をすれば、日本は壊滅すると思うけれど」
「ていうか教会もさあ、あと1人だけ増やせばいいのに。何よ、4999人て」
「貴女が信者になってあげれば解決するわ」
「嫌だー。私の神様は黄金仮面様ただ一人だもーん」
「『新月』のメンバーは全員が両陣営のどちらかに属しているのに」
「鷹爺さんは無所属だもん」
「あの方はある意味、神様だから」
 洋子は苦笑いしながら、日本社会の影で蠢く二大勢力について考える。
 魔法改造人間を大量に保有している宗教団体『天球星霊教会』もまた、『最後の審判』と呼ばれる独自の理想のため、日本壊滅、そして人間の皆殺しを計画していた。洋子のいたA市や、この前に訪れた東都西大学にも、教会の信者や工作員が潜伏していた程度には、信者数は多い。
 問題は一つ。

 甲世幕府の『ネオID計画』と、天球星霊教会の『最後の審判』と、秘密結社新月の『夢の国』。
 これらは決して共存することはなく、お互いに潰し合う以外に道は無い。

「全面戦争は避けられないね。黄金仮面様はどちらを勝たせるつもりなんだろ?」
「どちらが勝とうと意味は無いわ。私たち『新月』は、幕府と教会の戦争を裏で操り、私たちの夢の国を創る。貴女の祖先である左近が諸大名軍につき、同じ仲間の甲世軍と戦ったように」
「今回は、幕府と教会の共演、シナリオは『新月』の、ちきちきガチンコ戦争デキレースってわけね」
「ふふふ。その通りよ。私たち『新月』の細胞は、既に甲世幕府と天球教会の中枢に潜伏している。おそらく、来年の5月に勃発するであろう戦争は、全て私たちのシナリオ通りに進むわ。ああ楽しみ」
「そのときこそ、黄金仮面様の夢の世界が実現するのね……」
 うっとりとしている二人の少女に、ゆっくりと近づいてくる影があった。
 人数は2人、学園の警備兵である。
 しかし、彼らは、洋子と無限に接触する直前で引き返していった。


「接触できないとは言え、もう少し近づいても良かったのではないでしょうか?」
「ふふふ。しかし、例え『新月』の同志であろうと、表の立場は敵対関係にあるわけだからね。いずれは協力するが、今は不必要に近づかず、気付かないふりをがベターだよ。彼女たちもそう考えているさ」
「畏まりました」
 JCIAのエージェントである甘三野は魔法瓶の蓋を開け、熱気をむんむんと放つ白玉ぜんざいを直接、ごきゅごきゅと喉に流し込み始めた。まるでスポーツドンリンクを一気飲みするかのように。
 樺島はその光景を見慣れたものとして意識していた。JCIAに属する戦闘集団『黒犬』でもトップの甘党である彼女は、いつも蜂蜜や飴やぜんざいを水筒に入れて持ち歩いていた。
「A市の事件の首謀者である洋子さんには、直接言いたいこともあったのですが」
「あの殺戮作戦は驚いたね。彼女、可愛い顔してなかなか趣味が悪い」
 あらかじめ、洋子から筋書きを聞いていた。
 どうように事件を起こし、どのように処理するか。処理するときは、上手く痕跡を消して処理するよう――結局、あのナイトガールズ事件は『新月』に起こされ、『新月』に幕を降ろされた演劇に等しい。
「趣味が悪いのは、『新月』の者なら、誰にでも当てはまります」
 甘三野の意見に、樺島は微笑んで頷いた。
 日本国最強の特殊部隊『黒犬』の隊員にして、300年前に死んだ『新月』と同じ能力を持つ2人。
 カーウィス・クローバーハートと同じ魔法を使う樺島。
 ハッピー・ネロファンダと同じ魔法を使う甘三野。
 静かなマスクに拷問狂の本性を隠した2人の『新月』は、甲世の中枢を守る任務に戻っていった。


 …………………
 ………


 都心を一望できる高層ビルの屋上を、「その人物」は静かに歩いていく。
 300年前の失敗を糧に、現在に転生を果たした彼女は、禍々しき黄金の仮面を装着する。瞬間、彼女の肉体は仮面から生え出た黒いリボンに包まれ、バレエのように舞い回った。
 ばさりと降りた漆黒のマントを蠢かせ、肉体を慣らすようにゆっくりと移動していく。

「ふふふ、ついにやってくる。私の夢の国が、現実となる日がやってくる……」

 顕現した黄金仮面は低く、暗く、嗤いを上げた。
 自分は復活し、『新月』も以前より強力な組織として復活した。
 背後に音も無く出現したのは二匹の魔物だった。
「我らが主よ! 今こそ私たちの悲願を現実に!」
「『黒の導』よ! 今こそ私たちの夢を現に!」
 色とりどりの宝石で全身を構成された、巨大な岩石人間。そして未だに武闘家の少女を食み続けている、巨大な粘液の塊。300年、世界の影でひっそりと生き続けてきた異形たち。

「ふふふ、うふふふふ。ふははっ、はははっ、あはははははは……! 今度こそ世界系に勝つ。世界系の抵抗を捻り潰し、勝って、勝って、この私と、暗黒の『新月』が、この国に、汚濁と憎悪と無望の世界を築く……!」


 この世の全ての邪悪を凝集するかのような。
 悪魔の笑い声が、再びこの世界を揺らそうとしていた。





     -救 世 主 ミ リ ル の お 仕 事-

         第4部了。そして、開幕。






「ミリル」


 名前を呼ばれた少女は、淡く反応してこちらに振り向いた。
 健康的なセーラー服が、目に眩しい。
 短く切り揃えられた髪が穏やかに靡き、無垢な笑みを浮かべ。
 世界の運命をかけて戦うことになる数奇な運命など、露知らず。
 今はまだ、普通の少女。


 そして始まる、救世主のお仕事が――。






『救世主ミリルのお仕事』 第4章 −甲世の城(後) 白炎の太陽VS暗黒の新月−
4-1「白炎の太陽VS暗黒の新月1」
4-2「白炎の太陽VS暗黒の新月2」
4-3「間、集結の新月」
4-4「白炎の太陽VS暗黒の新月3」
4-5「白炎の太陽VS暗黒の新月4」
4-6「白炎の太陽VS暗黒の新月5」
4-7「燃える世界」
4-8「終極」
4-9「はじまり」 (現在ページ)

『救世主ミリルのお仕事』 第5章 -5月14日 戦争前日-
5-1「左右の鏡」



この記事に対するコメント

4部終了、お疲れ様です。

それにしても・・・いつの世も悪はしぶといw
正義の味方はホント失業知らずですよ。
【2008/06/14 23:30】 URL | ゲスゲス #1NhL.LtM [ 編集]


*― ―) ゲスゲス様 お付き合い頂き、ありがとうございました。

>それにしても・・・いつの世も悪はしぶといw

自分でも書いていて、こいつらしぶといなー、とか思います……。
ミリルの話では、黄金仮面+『新月』とも完全決着をつけたいと思いますが。

【2008/06/15 22:49】 URL | N(管理人) #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
→http://ryonass.blog42.fc2.com/tb.php/108-c1d6c2cf
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

管理人紹介

Author:N
*― ―) 暇人のSS書き。華麗に武装した少女戦士や魔法少女の敗北萌え、陵辱萌え、拷問萌え。好きなシチュは汚されてドロドロ、小さいものウジャウジャ、囲まれてボコボコ、動けない、脱出できない、終わらない。
 好きな作品は最近は学園黙示録 ハイスクール・オブ・ザ・デッド。お気に入りは、うみねこシリーズ、舞Himeシリーズ、ネギま!、セーラームーン、封神演義等。

カテゴリー

コメント

リンク

このブログをリンクに追加する

来訪者