7:56。東関東州_K市_私立皇線学園通学路
「あれからもう10年か。私は1日たりとも、貴女の犠牲に感謝しなかった日は無いのよ」 駅前から続く人通りの多い道を避けて、私立『皇線学園』の制服を着た少女は、電信柱に張られていた一枚のポスターに眼を奪われていた。 それは10年以上前に失踪した少女、滝浦さなえを探していた両親が貼ったものである。張られて年月が過ぎているのだろう。愛らしく微笑む写真は色褪せ、雨水が染みて紙も皺だらけだ。 さなえという少女は当時、花壇の世話をするため早朝の学校に向かい、そこで忽然と姿を消してしまった。その後、一部マスコミが神隠しや誘拐説を囃し立て、また花壇が原因不明の土壌汚染を受けて花が生えないという怪談じみた噂も流れた。 娘の行方を調べていた滝浦家は、娘の失踪してから1ヵ月後、何者かに襲われて一家全員が死亡した。同情した人々から寄付金が集まり、それを狙っての強盗の犯行だと警察は発表。マスコミは滝浦家に世間の注目を集めたことを誤魔化すように、続報の一切を流すことはなかった。 [READ MORE...]
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